Mikkeller ビール、レシピを量産
チャーリーの丸わかりビジネスモデル(13)
他に類を見ない多彩なラインアップで世界のクラフトビールファンを魅了している、新進気鋭のビールメーカー「Mikkeller(ミッケラー)」。2006年の創業以来、1000種類以上、年間にして約100種類という並外れたペースでオリジナルビールを生み出してきた。
ミッケラーを特徴づけるのが「ファントム」や「ジプシー」とも称される、自社で設備を持たない生産体制にある。数学・物理学の教師だった創業者のミッケル・ボルグ氏による、アカデミックな知見に基づいた緻密なレシピは、当初からコンテストなどで高い評価を得ていた。その名声は、地元デンマークを代表するnomaや米国のAlineaといった世界に名だたるレストランがコラボレーションを熱望したことからもあきらかだろう。
高まる需要に対応するには、莫大な設備投資が必要となる。そこで採用されたのが、OEM(相手先ブランドによる生産)の手法。レシピの開発に注力し、それぞれのビールに適した醸造所へ委託することで、各土地の水や各醸造所の魅力を引き出しながら需要に応じた生産量を確保できる。
それでいて、オリジナリティーを失わない芯の強さこそがミッケラーがミッケラーたるゆえんでもある。日本を含む、世界6カ国で展開している直営店では常時20種類ほどのビールが並び、どれもが圧倒的な完成度を誇る。
最近は、自社のビールに合うラーメン店をオープンするなど、新たな可能性の追求に余念がない。ミッケラーは、単なる飲料を超えて、ビールの楽しみ方そのものを変えつつある。
[日経MJ2018年11月21日付]
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