介護サポーターの力いかそう
介護の現場で人手不足が続いている。ロボットの導入やIT(情報技術)活用で作業の負担は減らせるが、根本的な解決は難しい。資格がなくても働ける仕事を切り分け、主婦や高齢者がもっと現場で活躍できるようにすべきだ。
介護分野は、4月の有効求人倍率は3.59倍と全職種の平均を大幅に上回る人手不足だ。ただ、現場では問題解決に向けた新たな動きも出ている。
従来は介護サービスは資格を持った人がすべての作業をこなしていた。最近は事業者が「食事のサポート」「シーツの交換・清掃」「送迎」など専門性を必要としない仕事を切り出して募集し、派遣の介護サポーターとして働く人が増えてきたのだ。
介護サポーターは、働く時間も週末限定や1日3時間からなど、働く人の希望に応じて柔軟に設定できる。資格を持たず、時間に制約のある主婦や高齢者でも働きやすい仕組みだ。
介護のあらゆる仕事をひとりで抱え込むのは体力的にも精神的にも負担が重い。作業と時間を細かく分ければ、介護の仕事はきついというイメージが変わり、働きたいという人ももっと増えるのではないか。
現場で働くハードルが低くなれば、介護の仕事に興味を持つ人も増えるだろう。介護サポーターとして働き始めた人が、知識や技術を身につけて本格的に活躍する可能性も開ける。
経済産業省によれば、介護に携わる人材は2035年に79万人不足する。厚生労働省が経済財政諮問会議に示した推計によると、40年度には、生産性の向上を加味しても医療福祉分野の就業者数を18年度に比べ100万人以上増やす必要があるという。
主婦や高齢者には、それぞれ家事などの得意分野がある。一人ひとりがそれぞれの経験や強みをいかして協働する取り組みを介護分野だけでなく、同じく人材が不足している保育や教育などにも広げていきたい。