新入生物語 日本国際問題研究所理事長 佐々江賢一郎
4月になると若い新入生諸君は希望と不安の交錯する中で新しい一歩を踏み出す。
自分の新入生時代を振り返ると大抵不安の方が大きかった。高校進学の時は、初めて親元を離れ、広島でバンカラの気風の強い寮の生徒となった。「猛球に青春をかけろ」「故郷を想(おも)え」「校内に新風を吹き送れ」という寮訓の下でひ弱な精神が試され、夜枕に涙することが多かった。
初めて東京に旅行して大学に入ると、まず噂に聞いていた新宿...
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