大活字本を知ってますか
作家 篠田節子
毎年九月になると選考委員を務めている小説新人賞の最終候補作が、出版社から四、五本送られてくる。四百字詰め原稿用紙にして二千枚から二千五百枚。
「プロの書いたものと違って読みにくくてごめんなさい」と担当者。とんでもない。
とにかく話が転がって読ませる。書き手の熱意が伝わってくる。が、それだけではない。届いたとたんにため息が漏れるダンボール箱一杯の原稿は、出版社の配慮で大型活字で印刷されているのだ。ど...
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