情緒あふれる「巫山の雲雨」
阿辻哲次
全長六千キロに及ぶ長江のうち、四川省の白帝城から湖北省宜昌市までは奇岩や巨峰が連続する、息をのむ景勝地である。この険しい峡谷で、上流から順に瞿塘峡(くとうきょう)・巫峡(ふきょう)・西陵峡(せいりょうきょう)と名づけられる「三峡」は、かつて長江最大の難所だったが現在では河道が整備され、大型の定期船も就航できるようになって、「三峡下り」の名で国内外から多くの観光客が訪れるようになった。
この三峡の...
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